ラーメン官僚(田中一明)の「麺レポ!」
田中一明[著・写真]/ GourmetBiz編集部[編]
鶏節を用いるラーメン店舗が徐々にではあるが増えてきている。今回は関東近辺で「鶏節」を使ったラーメンが味わえる店を2店紹介。どちらも人気ラーメン店だが、高水準なラーメンが誕生しており、是非とも足を運んで食べてもらいたい逸品だ。
「鶏節」は、かつおぶしのような見た目だが、鶏肉を加工して製造された削り節。鶏の凝縮された旨味と風味が味わえる新たなダシで、調理に使用する飲食店が増えてきている注目の食材。
様々な鶏のうま味にレンゲを持つ手が止まらない「粋や」醤油らぁめん
まず1店目は、千葉県・県庁前「らぁめん つけめん 粋や(いなせや)」にて「醤油らぁめん」。
醤油らぁめん
高水準なラーメンを提供する千葉市の実力店。
同店は移転前、千葉中央エリアにおいて高い人気を誇っていた、千葉県内のラーメン好きの間ではよく知られた存在。
当時の同店の看板メニューは、その当時はまだ相当な人気を誇っていた魚介豚骨つけ麺。そんな同店が店を閉めてから数年にわたる雌伏のときを経て、昨年、県庁前の地で復活。
というのが、『粋や』の復活に至るまでの大まか過ぎる経緯である。
移転復活後は、以前にも増して多種多様なメニューを提供するようになっており、私がオーダーさせていただいた「醤油らぁめん」も、その中のひとつ。
鶏ガラ、鶏節をフル活用したスープは、口の中でせめぎ合う様々な鶏のうま味にレンゲを持つ手が止まらない。
とりわけ、鶏節が主役としてドッシリと根を下ろしており、鶏100%のスープでありながら、乾物系魚介がクロスオーバーしているかのような錯覚を覚える。
出汁としても極めて水準の高い味わいであり、その重層感たるや、同種のラーメンを提供する他店とは一線を画するものがある。
このスープに合わせている麺は、麺肌滑らかな細ストレート。軽やかな啜り心地が、食べ手を無我夢中にさせる。
うん、これは美味い!
いつの間にか、淡麗系でも一流の領域に到達していた。同店に限らず、その店のラーメンの真価は、何度も足を運ばなければ分からないものだ。
店舗情報
店名:らぁめん つけめん 粋や (いなせや)
千葉県千葉市中央区都町3-21-4
店主Twitterアカウント:https://twitter.com/inaseyasan1
スープ表面に浮かぶ鶏節はまさにブームの象徴
続いて埼玉県・宮原の「鶏そば骨付鶏 金嶋」にて「淡麗鶏そば」と「鶏めし並」。
淡麗鶏そば
オープンは昨年9月。店舗の場所はJR宮原駅前のロータリー。
駅から徒歩30秒という、この上なく至便な立地を誇る同店は、連日24時過ぎまで営業する社会人の心強い味方だ。
屋号からもお察しのとおり、同店では鶏を素材とするラーメンを提供。
淡麗鶏そばと鶏めしを注文させていただいた。
鶏めし 並
スープや油の色合いから、ひと目で鶏がベースとなっていることが分かる、ラーメンを食べ慣れていない方々にも親切な設計。
見方を変えれば、鶏のうま味を活かそうとする努力が、丼から透けて見えると捉えることもできる。
スープを啜り上げると、鶏のエキスが適度なさじ加減で口の中に飛び込んでくる。プリっとした食感が印象的な中細麺も、スープとベストマッチとは言えないかも知れないが、手堅いつくり。
スープの表面には鶏節が浮かんでおり、鶏の風味を増幅させるのにひと役買っている。
店舗情報
店名:鶏そば骨付鶏 金嶋(かねしま)
住所:埼玉県さいたま市北区宮原町3-514-5
公式アカウント:https://twitter.com/kaneshima_tori
田中一明さんのプロフィール
田中一明(通称・ラーメン官僚かずあっきぃ)
1972年生まれ。東大卒の現役官僚でありながら「超・ラーメンフリーク」として年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。現在までの通算杯数は12,000杯以上。
テレビ番組への出演や、雑誌やムック本の監修を行ない、ラーメン情報を精力的に発信している。
「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条を持ち、新店から老舗に至るまで、47都道府県の店舗を探訪。信頼度の高さに定評がある。
※こちらの記事は、田中一明さんの了承を得てfacebook投稿を再編集したものです。田中さんのfacebookページはこちら