カルピス、乳酸菌飲料(希釈タイプ)の継続的な飲用による高齢者のQOL向上を確認を発表。

投稿日:2014/11/13 16:10 更新日:

カルピス株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:山田藤男)発酵応用研究所は、愛媛大学大学院医学系研究科公衆衛生・健康医学分野との研究協力により、乳酸菌飲料<希釈タイプ>の継続的な飲用が高齢者のQOL(生活の質)(※1)の向上につながることを見出し、この研究結果を2014年11月5日から開催された第73回日本公衆衛生学会総会で発表した。
【背景】
カルピス社では、人々の心とからだの健康に役立つ商品・技術を提供することを目指し、乳酸菌や微生物を活用した研究を行っている。特にカルピス社独自の乳酸菌を活用した乳酸菌飲料については、発酵過程で作られる機能性成分の研究や、発酵で生まれる香りの研究など、多くの研究を行ってきた。
今回、2012年の予備調査(※2)に続き、50年後の日本の高齢者比率に近い愛媛県越智郡上島町(おちぐんかみじまちょう)(※3)の岩城島(いわぎじま)の住民の人々、および特定非営利活動法人しまの大学(愛媛県越智郡上島町、代表理事:村上律子)に協力を得て、高齢者における乳酸菌飲料<希釈タイプ>を継続飲用する習慣が、心の健康等の主観的なQOLに与える影響について、健康関連QOL尺度SF-8™(※4)やアンケートを用いた調査を実施した。

【調査概要】
目的:乳酸菌飲料<希釈タイプ>の継続飲用による心身の健康度への効果を検証すること
対象者:愛媛県・上島町岩城島在住の男女118名(男性37名、女性81名、56~94歳、平均71.4歳)
方法:
・希釈タイプの乳酸菌飲料30ml(希釈時150ml)を自身で希釈して調製し、1日1杯を8週間継続飲用する。
・飲用期間の前後には8週間ずつ、同飲料を飲まない非飲用期間を設ける。
・4週ごとに健康関連のQOLを評価するSF-8™、8週ごとに精神健康度、体調に関するアンケートを実施し、各期間の前後のアンケート結果の変化について、統計的に評価した。
調査期間 :2013年8月~2014年1月

アンケート調査会場の様子

岩城島の風景

【結果】
試験飲料の飲用期間8週間の前後において、SF-8™の評価項目である全体的健康感(p<0.05)、日常役割機能(精神)(p<0.05)、心の健康(p<0.01)など、精神面のQOLを中心に複数の評価項目において統計的に有意なスコアの上昇が認められた(図1)。一方、乳酸菌飲料<希釈タイプ>を飲用しない非飲用期間では有意なスコアの上昇は認められなかった。また、精神健康度や体調アンケート(便秘の症状など)においても、有意なスコアの向上や改善が認められた。

図1.SF-8™の評価項目(「全体的健康感」、「日常役割機能(精神)」、「心の健康」)のスコアの推移
【結論】
今回の結果から、乳酸菌飲料<希釈タイプ>の飲用期間において高齢者のQOLの向上が認められた。これらの主観的な健康感の向上には、乳酸菌飲料<希釈タイプ>のおいしさや栄養・機能性成分の摂取による効果だけでなく、日々の目的意識を持つこと、および、希釈タイプの乳酸菌飲料の特徴である毎日自分で飲料を希釈調製するルーティンワークを持つことなど、複数の因子の寄与が考えられ、特に、SF-8™の「心の健康」「日常役割機能(精神)」など、特に精神面のQOL向上が期待できることが示された。
また、このような取り組みを地域コミュニティ内で活用することにより、日常生活の中で様々な健康増進効果が得られる可能性が考えられ、今後も、今回の調査結果を参考として、乳酸菌飲料<希釈タイプ>のさらに長期的な飲用試験や都市部など他の地域での調査を実施し、検証を継続していくとのこと。

<研究協力>
順天堂大学大学院医学研究科公衆衛生学 教授
谷川 武 氏(前愛媛大学大学院医学系研究科公衆衛生・健康医学分野 教授)
「今回の調査では、調査方法の内容確認、分析結果の考察など、試験責任医師として全般にわたり監修を行いました。調査結果からは、希釈タイプの乳酸菌飲料を8週間の継続飲用することによって参加者の主観的なQOLが向上することが確認できました。カルピス社には、この素晴らしい取り組みを、ぜひ全国的に展開し、高齢者のQOL向上への貢献を進めていただきたいと思います。また、高齢者のQOL向上は、地域内のコミュニケーションを活発にして、地域コミュニティの維持にもつながると考えられます。今後の活力ある高齢社会に貢献する活動に期待します。」

【参考】
(※1)QOL
英語でquality of life の略で、「生活の質」の意。
人々の生活における物理的な豊かさだけでなく、精神面を含めた生活全体の豊かさを含めた概念。どれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえることから、近年注目を集める研究分野となっている。

(※2)2012年の予備調査
2012年に同地域で実施した高齢者約30名を対象とした1群8週間前後比較による予備調査より、継続飲用がQOLに影響を与える可能性が示されていた。今回、より信頼性の高い結果を得るため、参加人数を増やし、試験飲料を飲用しない非飲用期間との比較を行う、本調査を計画した。

(※3)愛媛県越智郡上島町(おちぐんかみじまちょう)
愛媛県と広島県の県境、瀬戸内海に浮かぶ離島25島(うち6島が有人島)から構成される町で、人口は約7,200人、世帯数は約3,700戸とされている。厚生労働省の研究班の調べでは、「2060年には、日本の人口の約40%が65歳以上となる」と予測されているが、上島町の65歳以上の人口は2012年2月末時点で40%に上っており、約50年後の日本人口の縮図と考えられている。

(※4)SF-8™
米国のJohn Ware博士らによって開発された健康関連のQOLを評価するための調査票で、日本語版は認定NPO法人健康医療評価研究機構から提供されている。8つの尺度(①身体機能、②日常役割機能(身体)、③体の痛み、④全体的健康感、⑤活力、⑥社会生活機能、⑦日常役割機能(精神)、⑧心の健康)に対応するスコア、および身体的健康と精神的健康をあらわす2つのサマリースコアを算出することができ、高齢者のQOL評価を短時間で行えるため、疫学調査などで国際的に広く用いられている。

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