「パティシエ エス コヤマ」のオーナーシェフ、コヤマススムが、2014年10月29日(水)~11月2日(日)までフランス・パリにて開催される世界最大のチョコレートの祭典「SALON DU CHOCOLAT(以下よりサロン・デュ・ショコラ)」に 4 年連続で今年も出展、さらにフランスで最も権威のあるショコラ愛好会「Club des Croqueurs de Chocolat(クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ)※1」の品評会(以下より C.C.C.)に出品。審査の結果、昨年のリベンジを果たし、最高位のゴールドタブレット+☆を獲得し、さらに2014年10月31日(金)現地時間16 時(日本時間11月1日(土)午前1時)、「SALON DU CHOCOLAT」内で行われる「LES AWARDS DU SALON DU CHOCOLAT 2014※2」」にて外国人ショコラティエとして最も栄誉のある「Excellence chocolatier ショコラティエとして最も栄誉のある「Excellence chocolatier etranger(昨年までの etranger(昨年までの外国人部門最優秀ショコラティエ賞)」を受賞したことを発表した。2013 年度までの「外国人部門最優秀ショコラティエ賞」2011、2012 年の受賞と合わせ、3 回目のW受賞という世界初の快挙である。
※1「Club des Croqueurs de Chocolat」:
1981年に食の評論家やジャーナリストによって設立された、フランスの最も権威のあるショコラ愛好会。会員数約150名。直訳すると「チョコレートをかじる人たちのクラブ」で、「C.C.C.」と略される。定期的にデギュスタシオン(試食品評会)が行われており、基準に基づいた判定によって、今年度よりゴールド、シルバー、ブロンドのタブレット(板チョコ)マークで評価される。C.C.C.品評会には誰でも参加できるわけではなく、事務局からのエントリー通知が届いて初めて参加が可能。今年は約250名のショコラティエが応募し、アワードに12名が選出された(外国人部門で日本人の受賞はコヤマススムのみ)。
※2「LES AWARDS DU SALON DU CHOCOLAT 2014」:
サロン・デュ・ショコラにて発表されるショコラティエのアワード。C.C.C.により、世界中の参加者の中から本年度よりが選ばれ、LES AWARDS DU SALON DU CHOCOLAT 2014では最高位ゴールドタブレット+☆を獲得したショコラティエのみが表彰式のステージに立ち、賞を受け取る。
今年で記念すべ20回目を迎えるサロン・デュ・ショコラの今年のテーマは「Le Chocolat, Patrimoine Universel(世界共有遺産)」。世界中の人々に喜びや幸せをもたらしているショコラを「世界共有遺産」として未来につなげていきたいという思いが込められている。会場では、店舗ブースの出展だけではなく、女性モデルが素材の一部にチョコレートを用いた衣装を着用したファッションショーや、高さ約4メートルのチョコレートで作られたキングコングの像が登場するなど、五感でチョコレートを感じられる仕組みが満載。例年、数十万人が参加するといわれる同祭典を大いに盛り上げた。
同祭典の会期中、フランスの最も権威あるショコラ愛好会『C.C.C.』より、“LE GUIDE DES CROQUEURS DE CHOCOLAT EDITION 2015(C.C.C.ショコラティエガイドブック)が発表。C.C.C.品評会に応募したショコラティエの中から試食を重ねブラインド・テストを行い、ゴールド、シルバー、及びブロンズのタブレット獲得者181名が選出され、「LES AWARDS DU SALON DU CHOCOLAT 2014」で、各アワードの最高受賞者がステージ上で発表された。
C.C.C.の課題は、今年度から“創造の可能性を広げるため”という目的で変更になり、オリジナル作品を4種類出品することとなった。この課題に対し、コヤマは「SENSE」という今年度の自分自身のテーマのもと、4品を出品。
1「Deux Colombia(ドゥ・コロンビア)」
コヤマが現地・コロンビアまで視察に行き、手に入れたシエラネバダとトゥマコという2種のカカオを重ねたショコラ。
2「桜の葉&フランボワーズ」
物憂げな着物姿の女性と新芽の息吹をイメージし桜の葉を使用したショコラ。
3「こがし醤油」
作家の小山薫堂氏がオーナーを務める京都の料亭「下鴨茶寮」の「料亭の粉しょうゆ」を、焦げる直前の醤油とショコラを合わせたガナッシュにまぶし、コーティングした日本料理の一皿を彷彿とさせるショコラ。
4「抹茶&パッションのプラリネ」
抹茶の苦み、パッションフルーツの酸味、ヘーゼルナッツのプラリネのふくよかな甘みを融合したショコラ。
C.C.C.ガイドブックの編集長かつ、審査員のアラン・ブロンシャン氏はエスコヤマの出展ブースを直接訪れ、「8 人の審査員でチョコレートを試食したが、出品した4 品とも20点満点中20点はコヤマだけだったね!本当に美味しいし、見た目とのバランスも最高で批判のしようがなかったよ!(原文まま)」と最大限の賛辞を送っていた。またサロン・デュ・ショコラの主催者であるシルヴィー・ドゥースやピエール・エルメと並んで“2 大パティシエ”と呼ばれるフィリップ・コンティシーニ氏を始めとする世界的に有名なパティシエなども数多くブースを訪れ、コヤマの作るチョコレートの味とテクニック、そのアイディアを称賛した。
コヤマススムは「Excellence chocolatier etranger」受賞決定後、以下のようにコメントした。
『素直に嬉しいです!ただ表彰式の瞬間は嬉しかったんですけど、今は次の新しいクリエイションのことで頭がいっぱいです。確かに2011年、2012年の受賞の時は、ヤッター!だったんですけど、今年は自分の中で次のビジョンが広がっていますし、喜びに現をぬかしている場合ではないかなと思っています。もう自分ではこれ以上喜ばず、次に向かいたいと思います。ただ、この喜びは一緒に戦ってくれたスタッフや何より産地の方々に届けたいですね。またカカオハンターの小方さんをはじめとする『カカオ・デ・コロンビア』のスタッフに対して、素晴らしいカカオを提供していただいたことに感謝したいと思います。この勝利はチームエスコヤマ全員の勝利です!(原文まま)』
<C.C.C.ガイドブックの評価>
【総評】
軽やかな味わい、極限までに追及された味覚、哲学の中に小山進の素晴らしさがある。まさに、潜在意識にある美食の欲求に訴えるもの。味覚の錬金術師 味覚の錬金術師と言える。ボンボンショコラの外見はパーフェクトかつ、控えめ、優雅さ、洗練、すべてを備えている。ガナッシュは大胆。緊張感があり、口どけはまろやか。配合のバランスが完璧である。
【チョコレートそれぞれの評価】
①Deux Colombia
生産地の違う、しかしお互いをパーフェクトに引き立て合う2種類のカカオのマッチングが楽しめる。
②桜の葉&フランボワーズ
チョコレートと木苺の酸味が立ち上り、アンフュゼした桜の葉の優しく仄かな香りとはかないマリアージュが楽しめる一品。
③こがし醤油
驚きを禁じ得ない、サプライズに満ちたチョコレート。
④抹茶&パッションのプラリネ
苦み、甘み、酸味が見事に調和したまさに味覚の極みのような作品。まさに幸福の瞬間だ。
<コヤマススムのコメント>(すべて原文まま)
Q1.サロン・デュ・ショコラに4年連続出展となりますが、今年はどんな思いで臨みました 今年はどんな思いで臨みましたか?
『過去3年間出品してきたことで、良い意味で自分ひとりでは出品するか否かを決められなくなりました。それは、楽しみに待ってくださっている日本の皆さんやパリの皆さん、さらには産地の皆さんやこのステージには立てないが応援してくれる全ての人たちに支えられているという、責任感を強く感じるようになったからだと思います。 さらにC.C.Cの審査員の方々は、既に「来年の作品を期待しています!」とブースに足を運んでまで言ってくださいます。そんな方々に、良いこと、つまり僕の場合は、未知の味覚を想像することを続けていきたいと思います。』
Q2.昨年のリベンジを見事果たす形になりましたが、率直な感想をお聞かせ下さい。
『素直に嬉しいです。ただ表彰式の瞬間は嬉しかったんですけど、もう今は次の新しいクリエイションのことで頭がいっぱいです。確かに 2011 年、2012 年の受賞の時は、ヤッター!だったんですけど、今年は自分の中で次のビジョンが広がっていますし、喜びに現をぬかしている場合ではないかなと思っています。喜びに現をぬかし
ている時間を減らさないと、次を考える時間が減ってしまって怖い。もう自分では喜ばず、次に向かいたいと思います。
ただ、この喜びは一緒に戦ってくれたスタッフや産地の人に届けたいですね。またカカオハンターの小方さんに対して、素晴らしいカカオを提供していただいたことに感謝したいと思います。 この勝利はチームエスコヤマ全員の勝利です。』
Q3.今年の作品で一番苦労したこと、もしくは困ったことは何ですか?
『僕の考えですが、一流のアスリートも「苦労しました」とは言わないように、僕の口から苦労という言葉はこの先も出ないですね。「苦労した」というのは、本当は苦労していなかったり、勉強不足の人が発する言葉であって、苦労って感じると、楽しく美味しい作品創りはできないと思います。 ただ、去年表彰式に立てなかった悔しさは勿論ありました。表彰式に立てなかったということは自己ベストを更新出来ていなかったということなので、欠点が無かったか、一生懸命反省しました。
その中で今年たどり着いたのが、昨年よりも良いカカオに出会うこと、そして様々なフルーツの酸味をうまく使いこなし、わかりやすいショコラにすることです。 まず初めに、カカオをもっと深く勉強しないと前に進めないと感じ、他の誰よりもカカオのことを勉強し、極め、自分のショコラづくりの奥行きを広げることを意識しました。そのために、より積極的に自分しか出会ったことのないカカオを探しに、今年はコロンビアやインドネシアといった産地に直接足を運んで、カカオを探求しました。
次に、今までの作品では強調していなかったフルーツの酸味を活かすこと、今回でいえば桜の葉の独特な香りと木苺の華やかな酸味をチョコの中にうまく活用することや、抹茶の苦みとパッションフルーツの酸味を融合させたことなど、フルーツの酸の扱いにとてもこだわりました。
そういう試行錯誤を重ね、さらに僕の 50 年間の人生で培った五味・五感投入したことで、集大成にふさわしい最高傑作が生まれたと思っています。』
Q4.今後の目標は? Q4、今後の目標は?
『今回は、「抹茶とパッションフルーツのマリアージュ」や「醤油をこがす」など、海外の人たちが知らない味覚を紹介しましたが、まだ日本には僕自身もチョコレートには使ったことがない素材が眠っていると思うんですね。去年の京都で出会った、下鴨茶寮の粉醤油のように、様々な場所に行って、もっと多くの日本の素材に触れる。そうすることで新しく出会った素材と日本の小山がチョコレートとマリアージュさせて、自分なりのオリジナリティをどんどん出していきたいと思います。
あと、絶対に自分には負けたくないので、50 歳のコヤマススムに 51 歳のコヤマススムが負けないように頑張りたいですね(笑)』
Q5.これからの日本を背負う、次世代のショコラティエへのエールをお願いします のエールをお願いします。
『後輩たちには、日常の中で出会ったものに対して、五感を研ぎ澄まして、あらゆる場面で感じ取ったものを作品にアウトプットする力を鍛えてほしいと思います。
基本的には、自由な発想で良いと思います。日本の素材を使用したから、日本のモノづくりということではなくて、日本人である自分の歩んできた人生が詰まったような、オリジナリティにあふれた日本人の丁寧なモノづくりを行うことが一番大事だと思います。もし自分が表現したいものを作品にアウトプットできないのであれば実力不足なので、その技術力をつけてください。こんな僕でも世界で活躍できるので、必ず可能性はあります、頑張ってください!』
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