米メディカル・ニュース・トゥデイは、カレーの材料として以外にも、さまざまな薬効が期待されているウコン(ターメリック)だが、新しい研究で、ウコンに含まれる物質が、アルツハイマーや脳卒中など、脳機能の低下をもたらす症状を軽減する働きがあることが明らかになったと伝えている。
元記事:http://www.medicalnewstoday.com/articles/283109.php
米メディカル・ニュース・トゥデイによると、カレー粉の材料でもある明るい黄色のスパイス、ウコンに含まれる物質が、神経障害の治療薬の有力な候補となっており、ドイツにあるユーリッヒ神経医学研究所の研究者らは、ウコン化合物が脳内の幹細胞の増殖や分化を促進すると発表した。脳卒中やアルツハイマー患者に希望を与えている。
「幹細胞研究と治療ジャーナル」によれば、ウコンに含まれる生物活性化合物、芳香族ターメロンは、神経疾患の原因となる神経炎症を引き起こすマイクログリア(小膠細胞)の活性を遮断することが知られていた。
今回の研究で明らかになったのは、ウコンに含まれる芳香族ターメロンが、脳の自己修復能力に及ぼす影響である。
研究チームは、神経幹細胞(※神経細胞=ニューロンを新しく産出する細胞)、そのなかでも成体の神経幹細胞に焦点をあてた。
神経幹細胞はアルツハイマーのような疾病で傷ついた脳の機能を自己修復するために、重要な役割を果たしている。
今回の研究では、芳香族ターメロンの効果は、成体のラットに注射する実験によって試験された。
PET画像法とトレーサーによって、研究チームはターメロンを注入したラットの脳内では、注入していないラットと比較して、脳室下帯と海馬が拡張していることを確認した。
脳室下帯と海馬はともに、哺乳類の大人の脳において、神経が産出されるふたつの場所である。
◆再生医療の分野で大きな目標に一歩近づく
研究チームはさらに、濃度の異なる6段階の溶液の中で、ラットの胎児の神経幹細胞の培養を72時間にわたっておこなった。
その結果明らかになったのは、ある濃度において神経幹細胞は、細胞の管理メカニズムに影響を与えることなく、最大80%の増殖が見られたのである。
さらに、細胞の分化プロセスも、処理をおこなっていない細胞と比較して、加速されていたことが明らかになった。
これらを総合して、論文の主執筆者であるアデル・ルーガーは次のように述べている。
「脳内で幹細胞の産出を促進する物質はわかっていても、幹細胞からニューロンへの分化を促進する薬は、ほとんど見つかっていませんでした。それを発見することが、再生医療の大きな目標だったのです。
今回の芳香族ターメロンに関する発見によって、私たちはその目標に一歩近づいたと考えています」
ターメリックには、もうひとつクルクミンという物質も含まれている。
クルクミンは抗炎症作用と神経保護作用に優れていることで知られている。
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