インターネットや書籍で「ビワの種子が健康に良い」「がんに効果がある」といった噂が広まり、種を粉末化した商品が販売されています。
しかし、この噂について農林水産省は「ビワなどの種子や未熟な果実には、天然の有害物質が含まれています」と注意喚起した上で、「ビワの種子の粉末は食べないようにしましょう」と呼びかけています。
ビワの他にビワ、アンズ、ウメ、モモ、スモモ、オウトウ(サクランボ)などのバラ科植物の種子や未熟な果実についても注意が必要のようです。
(画像はイメージ)
■ビワの種子や未熟な果実には有害物質が
ビワなどの種子や未熟な果実には、アミグダリンやプルナシンという青酸を含む天然の有害物質(総称して『シアン化合物』)が含まれています。
シアン化合物を高濃度に含む食品を多量に摂取すると、健康を害する場合があるとされています。
熟した果肉に含まれるシアン化合物はごくわずかですが、種子を乾燥させて食品加工した場合には、シアン化合物を一度に大量摂取してしまう危険性があります。
平成29年には、ビワの種子を粉末にした食品からシアン化合物が高い濃度で検出され、製品が回収される事案も複数発生しました。
回収された製品のうち、特に濃度が高いものでは、小さじ1杯程度の摂取量で健康に悪影響がないとされる量を超えて青酸を摂取してしまう可能性があるとされています。
■農林水産省「科学的に十分な根拠はありません」海外では死亡例も・・・
また、シアン化合物の一種であるアミグダリンを「がんに効果がある」「健康に良い成分」とする情報について、農林水産省では「科学的に十分な根拠はありません」と述べています。
健康に良いどころか、むしろアミグダリンは体内で青酸を生成する可能性があり、健康への悪影響が懸念されます。
海外では、アミグダリンを含む生のアンズの種子を大量に摂取したことで、健康被害や死亡例が複数報告されています。
■ビワの種子を使った料理にも要注意
インターネット上にはビワの種子を使ったレシピが多数存在しますが、現時点で健康被害の報告はありません。
しかし、ビワの種子(ウメ、モモ、スモモ、アンズなどの種子も同様)を使った料理にもシアン化合物が残っている可能性があるため、注意が必要です。
一方、それらを使ったハーブティーについてはどうなのでしょうか。
農林水産省は、
シアン化合物の濃度が「10 mg/kgを超えていない」ことを条件に
「破砕片をティーバッグに入れた食品で、お湯等で抽出して飲むものについては、ティーバッグの内容物が10 mg/kgを超えていても抽出液の状態で10 mg/kgで超えていない場合には、適量であれば、安全に飲むことができます」
とし、適量であれば、安全に食べられることを解説しています。
ジャガイモの芽に天然の有害物質が含まれていることは有名ですが、ビワの種子にも含まれていることは知らない人も多かったのではないでしょうか。
インターネットなどの情報はしっかり発信元を確認し、正しい情報を手に入れたいですね。
※情報は掲載時点のものです。
<編:GourmetBiz編集部>