2023年5月、東京都足立区の東武鉄道西新井駅構内で、コーヒーの缶が破裂して2名が負傷する事件が発生しました。
缶を置いた男性は「勤め先の洗剤を家で使うため缶に入れた。破裂は故意ではない」と説明したそうです。
しかし、洗剤をコーヒー缶に移し替えただけで、なぜ破裂が起きたのでしょうか。
■「アルカリ性」の洗剤を「アルミニウム」の缶に投入する危険
破裂したコーヒー缶はアルミニウム製の蓋が付いたもので、中にはアルカリ性洗剤が入っていたそう。
そして、洗剤とアルミニウムが化学反応を起こし、水素ガスが発生。これが缶内に溜まり、内圧が上昇した結果、破裂したと考えられています。
この事件を受け、東京消防庁ではアルカリ性洗剤をアルミ缶に投入する実験映像を公開。
時間の経過とともに気体が発生して缶が腐食し、洗剤が漏れ出ています。
蓋をした場合には約2時間で缶の底が変形。さらに10分後には缶の内圧に耐え切れず大きな音を立てて破裂しました。
■洗剤は『化学物質』取り扱いには十分注意して
名古屋市消費生活センターでも、「洗剤は『化学物質』です」と強調したうえで、「洗剤の基本的な特徴と取り扱い方法をよく確認して守り、事故を起こさないように注意が必要です」と呼びかけています。
また、日本石鹸洗剤工業会 (JSDA)によると、各メーカーは中身と同時にそれに応じた容器を開発しているそう。
洗剤や洗浄剤、漂白剤などは「ほかの製品の容器に移し替えない」「飲料や食品の容器に移し替えない」「市販の容器に移し替えない」「金属容器や空き缶に移し替えない」と、製品の本体容器以外には移し替えないように注意喚起しています。
洗剤などを他の容器に移し替えるという行為は、誰もがついついやってしまいがち。
しかし、身近にある化学物質を扱う際には、事故を起こさないように十分注意して、正しく安全に使用することが重要です。
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<編:GourmetBiz編集部>