コンビニエンスストア大手・ファミリーマートが2021年より展開し、注目を集めている「コンビニエンスウェア」シリーズ。
先日、SNS上であるユーザーがコンビニエンスウェアに対し批判的なコメントを投稿したところ、大炎上してしまい、結果的にコンビニエンスウェアが大注目されています。
■【大成功】ファミマ、想定外の方向から新規事業が大バズり!?
SNSで炎上したのが、とあるファッションデザイナーによる「コンビニエンスウェアで3000円のスウェットを買うぐらいなら、3万円で生地の良いスウェットを買ったほうが安上がり」という投稿。
ファミマは、昨年12月にスウェットアイテム3型をいずれも2990円~3990円という価格帯で発売。
このファミマの安すぎるスウェットを見下すような表現に読みとれる投稿に多くのユーザーが反応。
「自分がすすめたい商品のために他の商品を貶すような人間の言う品は買いたくない」「3万円のスウェットを10年使うなら3000円のものを毎年買い替えたい」「3万円のスウェットに価値を感じない人もいる」など、批判の声が次々と寄せられました。
■実はチャンピオンのスウェットに近づいているファミマのスウェット
さらに、この炎上は「3000円のスウェットと3万円のスウェットの違いは何か」論争に発展。
アパレル好き界隈からコンビニエンスストアの優れた点が寄せられることとなり、コンビニエンスウェアの優れた点に注目が集まる展開となりました。
というのも、販路が圧倒的に多いコンビニウェアはファミマ全店舗に同じ商品をラインナップしようとすると、おのずと発注数が多くなるため、質の良いものを安価に提供するラインに乗せることができるというアパレルの「必勝パターン」に入っているのです。
その象徴として信じられないコスパを実現しているのがスウェット素材を使用したトップス商品。
こちらはスウェットパーカーです。
スウェット生地の難点である洗濯すると「縮みやすい」というデメリットを解消すべく生地の向きを横向きに裁断。着丈方向の伸縮を軽減させています。
生地を横方向に使用しているのが分かります。
普通はこのように縦方向。
詳しい方ならすでにピンと来ているかと思われますが、これはスウェットの名品「チャンピオン」で採用されているあの製法。
「REVERSE WEAVE®リバースウィーブ®」という製法ですが、これは商標登録されておりチャンピオン製品にしか使用してはいけない表現です。
商標の都合上、リバースウィーブ®という文言こそ使われていませんが、チャンピオンでも採用されている製法がコンビニウェアで展開されていることに驚いた人は多いのではないでしょうか。
ファミマのこの事業への強いこだわりを感じるポイントです。
補足ですが、チャンピオンはさらに横にリブをつけることで横方向の伸縮の軽減も可能にしていますが、ファミマのスウェットにはリブはありません。
その点においてもチャンピオンのスウェットとは似て非なるモノですが、生地の向きを変えることでコストがかかるというデメリットを含んでもこの価格帯を実現できたのはやはり発注数の多さかもしれません。
アパレル界隈のユーザーからはファミマの店舗数に着目し、ユニクロ相当のエコシステムを実現できている可能性を指摘する声もあがっていました。
ファミマのスウェット商品は、店内にある全商品のなかで最もコスパが良い品といっても過言ではないかもしれません。
この流れから、ユニクロの品質にまで話は発展。
■高品質で低価格といえば、やっぱりユニクロは外せない「百貨店の品物と同等」
ファストファッションの代表・ユニクロのアイテムが再評価される展開にもなっています。
ネット上では「ユニクロのシャツとか、ラルフローレンと同じ生地を使っているし、ハイゲージニットの糸はゼニアバルファのキャッシュウールで、百貨店の品物と同等の品質」「ユニクロのアイテムはあの価格で何回洗濯しても崩れない高品質」「あの品質を低価格で提供できるのはユニクロだけ」など、決して「安かろう悪かろう」ではなく、高品質のアイテムをできるだけ求めやすい価格で提供する企業努力を評価する声が多く上がっています。
また、スウェットという普段使いを中心としたアイテムだからこその意見も多くあがり、「スウェットなら3万円のものを買うより、洗濯機で何回も洗える3000円のものを買いたい」「子供と思いっきり外遊びしたいから、気軽に洗濯できて質もいい3000円のスウェットが欲しい」など、スウェットの場合は気軽に着られて何回も洗濯機できる低価格帯のものを買いたいという声が多く上がりました。
一般ユーザーの「批判」が炎上したことにより、逆に「再評価」されるという想定外の方向から大バズりしたファミマのスウェット。
この批判をきっかけに、多くの人が知見を引っ張り出して提供したり、需要が明らかになったりと思わぬ副産物がたくさん生まれた今回の騒動。
様々な意見があがるSNSならではの現象だったのではないでしょうか。
<取材・文・編集:GourmetBiz編集部>