2000年の創業以来、東京でスペシャリティーコーヒーの専門店として13年以上、上質なコーヒーを提供し続けてきた「マキネスティコーヒー」。
高品質の豆をオーナー自らシアトルで選定し、自社輸入・自社焙煎している。
1年の半分以上をシアトルで過ごし、上質なエスプレッソを提供するために日々奔走しているという。
創業者でもあるオーナーご夫妻の辻さんに話しをうかがった。
■スターバックスの出現はシアトルの歴史的瞬間だった。
30年以上前からご夫妻ともにシアトルで生活していたという辻さんは、スターバックスの出店がシアトル全体に及ぼした影響を目の前で見てきたという。
「スターバックスがシアトルで店舗展開を始めた時のショックは本当にすごいものでした。
シアトル全体にスターバックス大旋風が巻き起こり、大行列が朝から晩まで続いていました。
エスプレッソをフォームミルクで割って飲むというスタイルは北米中に広がり、スターバックス以外にも同スタイルの店舗がまたたく間に増加していきました。」
当時、設計士として設計のコンサルタントなどに携わっていたご主人は、カフェのための設計コンサルタントを受けることもあり、コーヒーに纏わる人脈が自然と出来ていったという。
そこから、エスプレッソの研究を重ね、2000年に東京・東麻布で1号店をオープンさせる。
デリやスイーツもメニューに入れた、現在では主流となっているようなカフェスタイルだ。
「当時は、今ほどカフェスタイルが流行していませんでしたから、仕入れがとても大変でした。」
納得のいく物だけを提供するということにこだわった結果、提供する品は徐々に厳選されていき、現在のようなコーヒー豆の自社輸入・自社焙煎をメインとした業態にシフトしていった。
■繊細な味覚を持つ日本人に上質なエスプレッソを提供したい。
シアトルでの生活が長い辻さんだが、スペシャリティコーヒーを嗜む文化はアメリカ人より日本人の方が合っていると考える。
「アメリカ人は元々牛乳をたくさん飲みます。日本人の私達には真似できない程、大量の牛乳を毎日摂取する人が多くみられます。
スターバックスが大流行させたエスプレッソをフォームミルクで割って飲むというスタイルも、アメリカ人にとっては牛乳を摂取する文化に沿った形で浸透しているところもあると思います。
一方、アメリカ人ほど大量の牛乳を毎日飲む文化のない日本人にとっては、スペシャリティコーヒーの流行は、エスプレッソを嗜むためのものという意味合いの方が強く浸透したように感じます。」
そのため、日本人に提供することを意識した時、エスプレッソの質は絶対に妥協しないと決意したという。
■巨大なマーケットには、必然的に上質な物が集まる。
「シアトルにこだわりました。スターバックスの開店からスペシャリティコーヒーブームが起きて以来、現在もなお、アメリカは世界的にも大きなマーケットになっています。
大きな市場のあるところに上質な物が集約しやすい。より活性化されたマーケットで商品の選定を行うことは上質を求める上で最も重要なことだと考えます。」
また、契約農園を持たないことも、こだわりの一つとして挙げている。
「自然農作物という特性ゆえ、生産年ごとに豆の出来も大きく変わる。
毎年同じ農園で同じ品質の豆が収穫できるかというと、どこにもその保証はない。
時期ごとに農園から見直し、コーヒー豆の選定だけは一切手を抜きません。」
同社が輸入しているコーヒー豆。
既に不純物や劣化した豆などが取り除かれた状態で仕入れている。
焙煎したコーヒー豆のカッピング。
焙煎後、豆本来の香りとキャラクターが出ているかを確認する。月・水・金の週3回店舗で行われ、無料で参加可能となっている。
■おいしいものは誰が飲んでもおいしい。
コーヒーを嗜むにあたって、嗜む側にもスキルのようなものは必要かどうか聞いてみた。
「いえ、上質なものはどんな方でも飲んだ瞬間に“おいしい”と感じて頂けると思います。そういう場面をこれまで何度も見てきました。日本では上質なコーヒーを楽しめる環境がまだまだ十分ではないように感じます。上質なコーヒーを求める方達に満足いただけるコーヒーを提供することに今後もこだわっていきたいと思います。」
ロマーノ
シアトルのカフェで見つけたエスプレッソの飲み方の一つで、通い詰めてレシピを研究したという。
エスプレッソに甘みを足した後、レモンの皮をカップの淵に絞りつける。
カップの淵に絞りつけることで、レモンの香りを有するオイルをスプラッシュ状にほのかにエスプレッソに漂わせることが出来るとのこと。
オレンジマキアート
シナモンとオレンジの香りが広がる人気のエスプレッソ。
オリジナルのホームメイドスイーツ
アメリカでは、ホームパーティの時にホームメイドのお菓子や料理を持っていくのがスタンダードとのこと。
日本では知人宅へ訪問する時に、デパ地下などで有名菓子を購入することは普通であるが、もし、アメリカでホームパーティに既製菓子を持っていこうものなら、驚かれ怪訝な顔をされる程に非常識なことのようだ。
ホームパーティは多くの場合、ほぼ毎週誰かしらのお宅で開催され、特にサンクスギビングの11月の末からニューイヤーズイブまでの12月一杯は毎週末どこかの家でパーティが行われるとのこと。
辻さんは、そういった環境の中、当然ホームメイドのスキルも磨かれていったという。
また、化学調味料などへの拒否感は日本より強いため、天然素材にこだわったホームメイド菓子作りが主流だという。
バナナブレッド(左)と、ルバーブ(Rhubarb)のパイ(右)。
バナナ特有のえぐみを全く感じさせず、自然な甘さが味わえる。
ルバーブはセロリのような触感の果実で、日本人の舌にも合うように、リンゴとベリーを入れて食べやすくアレンジ。
パイ生地は、日本では珍しいアメリカ式を採用。ざっくりした食感が特徴的。全てスクラッチから作っているこだわりぶり。
マキネスティコーヒーでは、カフェ店舗の営業とカフェオーナー様向けのコーヒー豆販売・抽出指導などを行っている。
また、新規カフェ開業を考えている方一人一人に合わせたサポートも行う。
【店舗概要】
Macchinesti Coffee
マキネスティコーヒー
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